米国債の購入について考えてみた。証券会社の比較

last update 2018.10.8

米国債に限らず、債券投資は個人投資家には不人気ですよね。理由は

・あまり流通していない。

・手数料が高い。

・販売単位が高い。

・利益があまり期待できない。

・情報が少なくてよくわからない。

辺りが理由だと思います。

 

僕も「リタイア後は配当金で生活」は憧れで、それを目指してやっていますが、債券投資も選択肢の1つとして考えるべきものだと思っています。

20代~30代を中心とし資産を増やすフェーズにおいては必須な投資ではないです。

しかし、リタイアを考えるに辺り「放置プレイで長期に安定した利金を得る」選択肢の1つとなるかと思うので、最低限の知識と経験は詰んで置きたいと考えています。

 

米国債は安全性と利回り面で期待できるので、よい選択肢です。

例えば、「65歳~85歳の20年位にFITできる様な投資」将来利用できれば良いな。と思っています。

資産の何割かで、そこそこの残年数がある30年債を買えば、これも可能な訳です。

そんなに上手く行かなくても、自分の投資ライフプランのフェーズにあうものを、納得できる「利回り」と「期間」の債券を「一定の円高局面」で購入する機会があれば嬉しいですね。

今は「今から10年以内にチャンスが来たら買うぞ!!」位のユルユルの構えです。

 

米国債の利回り

この記事を書き始めた2018年8月26日時点で、政策金利は1.75%~2.0%で、10年債券利回りは2.8%程度です。

漸くの金利上昇局面ですが、過去の例と比較して魅力的な水準とはまだ思えません。

リーマンショック前の2007年でも5%あることがありました。10年債を持っていれば株価に振り回されることもなく、税込みで合計50%の利金を頂いた上で昨年に償還となった訳です。

リーマンショックやデフォルトリスクでの下落や、金融緩和で上昇の中でグリップできてたか?というと難しそうですが。

 

下記、米国の10年債券利回りの60年分のチャートです。

 

下記は現時点のイールドカーブです。

1年債が2.3%なのに30年債が3%という長短金利差が少ない状態です。

日本国債に比較すれば遥かに良いですが、これを見ると、「長期投資で良いので高利回りを」というのに適した状況ではありません。

僕としては、もし円高になったら、低レバのFXでポジションを作り地味にスワップを貰いつつ、いざとなったら現引き、みたいな備えが良いかと思っています。

 

米国債の格付けについて

改めて、2018年8月23日時点のS&Pの格付けと利回りを記載します。米国はAA+で上位から2番目です。2011年8月に政府債務が多いためトリプルAから格下げになっています。世界最大のGDPと機軸通貨である点を加味すれば、国債の中で米国債は圧倒的な魅力があります。

もし、過去に高金利に釣られ、新興国国債で価格下落や為替手数料負けに痛い目を見た人がいれば、米国債は、それとは全く異なる投資商品と思って頂いた方が良いです。

10年債券利回り SP格付け
日本 0.1 A+
ドイツ 0.34 AAA
オランダ 0.45 AAA
フランス 0.68 AA
イギリス 1.27 AA
スペイン 1.38 BBB+
ポルトガル 1.81 BB+
カナダ 2.26 AAA
オーストラリア 2.54 AAA
ニュージーランド 2.57 AA
アメリカ 2.83 AA+
イタリア 3.11 BBB-
ギリシャ 4.19 B-
メキシコ 7.82 BBB+
インド 7.88 BBB-
ブラジル 12.23 BB

米国債の買い方

5年位前は流通量も少なく、大手証券会社でないと買えない状況でしたが、今はネット証券会社でも数多く流通しています。

記事では大手の野村証券、SMBC日興証券と、ネット証券として、SBI証券、マネックス証券を例にして比較します。

 

各証券会社の「債券」ー>「既発債」のページに行くと購入可能な銘柄が出ていますが流通量に限りがあります。

「欲しい!」と思った時には買えない可能性があります。

マネックスは債券の既発債券トップページ以外にも辿っていくとリストが出てることもあります。

野村証券は「債券は(野村証券が)そんなに儲からないし、別に小口投資家には売りたくない商品」というのが透けて見えます。

 

SBI証券(スクショ)

マネックス(スクショ)

 

各証券会社の既発債へのリンクです。

アフェリエイトではないです。ダイレクトリンクなので変更されるかもしれません。

マネックスはログインしないと見れないリストがあるケースがあり、ログインして債券のページから探してください。

野村証券

SMBC日興証券

マネックス証券

SBI証券

 

参考までに

楽天証券

大和証券

 

債券投資は投資単位について

株式と比較し購入単位が大きくなりますが証券会社毎に異なります。

SBI証券は流石ですね。

  • SBI 100ドル単位
  • マネックス 1000ドル単位
  • SMBC日興証券 1000ドル単位
  • 野村証券 1万ドル

 

手数料が不明瞭な債券

手数料は債券価格に含まれていて、各証券会社の手数料体系に依存しています。このブラックボックスに躊躇されます。

下記が、2018年8月23日時点でのスナップショットですが、横軸が残年数、縦軸が利回りです。緑が実際の米国債の利回りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちら見ると手数料の安さとしては、

マネックス > 野村 ≒ SMBC日興  >>>SBI証券

という形に見えます。手数料が利回りでみると0.15%~0.3%位相当ですかね。

証券会社間でも0.1%~0.2%位は差が出て見えます。上記の表は手前味噌ですが良いですね。機会があればアップデートします。

 

「年間3%位の利金貰うのだから、0.2%位別にいいよ!」と思う人いれば、「心が広い人でなぁ」と思います。

債券価格の意味をわかっていない方が多いのですよね。

例えば、金利が3%(1万ドルの債券で年間300ドル貰える)の10年債券の額面100とすれば、下記の様な感じです。

証券会社で買える利回り(%) 証券会社での購入時額面
米国債  3.0 100
A証券  2.9 103.44
B証券  2.8 107.14
C証券  2.7 111.11

 

1万ドル購入したら、C証券はA証券よりも767ドル(111.11-103.44*10000) も割高で、元額面よりも11%以上も割高です。

10年債券買うのに2年半分の金利差以上、もしくは価格差がある訳です。(あぁ、恐ろしい。)

 

もっと不明瞭な売却価格

もし、償還を待たず途中売却する場合には、売却時にも手数料が上乗せされ実際の市場利回りよりも安い価格で買い取りされます。

僕は米国債を買ったことがないので手数料相場は不明です。

ですが過去、SBI証券で「米ドル建て社債」を購入した時に売却価格を見ると3.5%位は取られる様でした。(ビックリ!)

株式では優秀なSBI証券も債券は現時点で「ぼったくり証券会社」の印象で「SBI証券は避けるべき」というのが結論です。

それでも

買い付け単位が小さかったり、

為替手数料が激安だったり、

商品揃えが豊富だったり

とメリットはあるので、普段からキャッシュを持っている人は償還まで待つつもりで利回りが納得できれば購入してしまうのも良いと思います。

大きく長期の債券を買うのであれば、売却価格等の目安を確認した上で購入した方が納得感がでます。僕レベルの知識では大きく買うのであれば、証券会社に相談します。

 

為替手数料と外貨運用について

外貨運用ですから外貨両替手数料も気になります。

SBI証券と住信ネット銀行の素晴らしいのは為替手数料ですよね。片道1ドル25銭が相場の中で、SBI住信ネット銀行は4銭です。

1万ドルならば25銭ならば2500円で、住信SBIネット銀行は400円です。

最終的に日本円に戻すことを考えると、この2倍の手数料がかかります。

 

一方で、額面が多くなると「両替せずドルのまま移動し、他証券会社で運用・両替」も考慮したいです。

米国債を買おうなんて人は「ハイパーインフレが来て日本円が暴落するかも」なんて考えている人がいるかもしれません。

資産の一部はドルの長期運用を覚悟している方がいれば、「外貨としての移動のしやすさ」も知っておいた方が良いかと思います。

 

下記に比較表です。

現時点だと野村証券が素晴らしいです。多くの資産家の優良顧客に支えられてのこのコストだと思うので、外貨運用がより一般的になると変更されると思います。

マネックスの外貨口座は外貨入出金ができず、移動の際には必ず日本円に戻さなければいけないデメリットがあります。個人的には片手落ちの印象が拭えません。

両替手数料(片道) 外貨送信手数料(1件当たり) 外貨受入手数料
みずほ銀行(参考) 1円(割引で40銭) 5000円 2500円
新生銀行(参考) 7銭~15銭(ランクによる) 2000円~5000円 無料
マネックス(外貨口座) 25銭 不可(*1) 不可(*1)
野村証券 25銭 無料 無料(キャッシュバック)
住信SBIネット銀行 4銭(*2) 3000円 25ドル(5万通貨以上は無料)
SMBC日興証券 50銭(10万ドル以上は30銭) 2500円(*3) 無料

*1 マネックスはFXでの外貨入出金は可能ですが、マネックス外貨口座は入出金できません。日本円での両替が前提です。

*2 SBI住信銀行で両替したケースです。1万ドル単位であればSBI証券のSBI FXの現引きで実質1.5銭/ドルのコストで可能です。

*3 三井住友銀行であれば無料です。ただし三井住友銀行に出金してもコスト高の送金・両替で行き止まりになります。

 

裏技的に為替手数料を下げる手段も

外貨入金は無料にしてくれるところも多いので、為替手数料は25銭が気になるのであれば、現引き可能なFX業者で現引きしてから送金するという手もあります。

今であれば、YJ FXはスプレッドの0.15銭に送金手数料1500円が最安だと思います。5万ドルぐらいの規模になれば1万円位の差になります。

 

ETFではいけないの?

ETFでもメリットでも多いので良いと思います。

前提条件として米国市場で買う場合に限ります。日本のETFは信託報酬費が上乗せされますし、マイナーな債券投資信託・ETFは償還リスクがあるので長期投資には向かないです。

為替ヘッジ型等もありますが、日米金利差分パフォーマンスが落ちますので、短期金利が2%近くも行く様な市況で債券投資には意味をなしません。

ちなみに債券投資として優秀なバンガード・トータル債券市場ETF(BND)の米国債比率は60%~65%程度です。

 

米国市場で時価総額の高い債券ETFを購入してデメリットを感じるのは、やはり10%の外国税です。

例えば税引き後で3%欲しいとすれば、生債券ならば約3.75% ですが、ETFであれば約4.17%の利回りが必要です。

また、生米国債は「市況に左右されない」のもメリットだと感じます。

償還まで持っていれば額面で戻ってきます。利金もドル建てですが一定です。

株式ETF程ではないにしろ債券ETFは市況に準じて動きます。

市場金利が上昇すれば、債券ETFの価格は下落し、長期債で構成されてれば、より、その影響は大きくなります。その後、内部の構成債券の入れ替えによって、利回りが後追いで上昇していきます。

ETFはいつでも売買できる反面、その市場価格で売却しなければいけません。期間が許容できるのであれば、生債券で利回り・利益が確定できた方が安心ですよね。

どのカテゴリーもそうですが長所・短所はあるので、自分の投資ライフに合わせて「許容範囲の金額内で運用」すれば良いかと思っています。

 

米国債の買い時タイミング

米国の金利は上昇傾向ですが、長短金利差が少なくなる傾向にあり、長期債の金利もあまり上がっていません。

金利上昇時なので「待ち」と考えたい訳ですが、今後利上げが後0.75%あったとしても10年債利回りが0.75%上がるという予測はないです。

日米で金利差分が出れば、為替は円安に動く可能性が高いので、「償還させるシナリオで、自分で納得できる利回りなら買う!」が原則です。

 

例えば、先日のT.Kamadaさんのツイートです。2020年以降について何も語っていませんが、債券利回りは3.4%でリセッション突入で再度金利が下がるシナリオに読めます。

僕は税引き後で3%以上欲しい!と考えると、これを見ると「買い時は来ない」という見込みになります。(´・ω・`)

 

もう1つ、下記は2018年10月8時点の債券先物から予測される「2019年10月のFRBの金利」です。

これを見るとFRBの政策金利は2019年10月に2.75~3.00%と予測が一番多いです。

この時に10年債の金利はいくつでになっていると皆さんは予想できるでしょうか?

「政策金利よりも10年債券の金利は高いのだから、もう少し待てば良い!」と普通は考えます。

ですが、過去景気減速面においては、10年債券金利が政策金利を下回るという事象も出ています。

1990年からの10年債/2年債/政策金利の月平均のチャートになります。赤が政策金利です。

結局、素人は考えてもどうにもならないので、「為替・利回りに納得できるならば償還前提で購入する」が基本です。

 

僕はいつ購入するのか?

昨年、某証券会社の担当に「買い時があれば米国債が欲しい」と伝えていたら、円が105円台に入った時に電話がかかってきました。確か米国金利は2.85%ぐらいだったです。断ったのですがタイミングは良かったので、少しだけ経験も兼ねて「買ってもよかったなぁ、」と少し後悔しています。

2018年9月の今は米国経済は強すぎます。タイミングとしては米国で信用不安が起きたり、金融政策や国際問題で米国債の需給が崩れる等、円高、債券安のタイミングの方がベターです。

もし、1ドル100円まで行くことがあれば、勇気を持ってドル転しておき、リタイア前に上手く大きく買えるタイミングを探したいと思います。

 

それまでは、気負わず、米国債を多くはあてにはせず、株式への投資、及び、適格社債・債券ETF買いで細々と続ける形になります。

償還までの期間が短いものが、3%を超えてくれば、配当株と同じ扱いで1000ドル単位での投資はいつでもあります。生債券もっているとちょっと長期投資家っぽくとカッコよくないですかね?

ちなみに、子供もまだ下は小学生で当分の間リタイアの予定はありません。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます!

 

1 Comment

  1. とても参考になりました、ありがとうございます。

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