ヘルスケア&メディカル投資法人の打診買い

リートが高値圏なので利回りが下がった手元の一部の銘柄を売却しました。

その際に久々にリートのバブルチャートをチェックしたらば、「ヘルスケア&メディカル投資法人」が利回りが6%を超えていたのでチェックしました。

 

ハイリスク扱いのヘルスケア系のリート

ヘルスケア系のリートは、投資対象物件は、老人ホーム、高齢者向け住宅、病院等への投資するリートです。

ぱっと考え、

「高齢化が進むから、ヘルスケアの不動産リートは伸びるのではないか?」

と素人目には考えるところもありますよね。

 

老人ホームや高齢化住宅は、立地的にも駅前でなくても良いし、NOI利回りは同じ地域であればオフィスや住宅にくらべて良さそうです。

ですが、市況としては、老人ホームや高齢者住宅は市況としては人気でなかなか売買で安く仕入れるのは難しいのは他不動産と同様で、市場全体が伸びるので、、、という単純にはいかない状況が続いていました。

現在のヘルスケア&メディカルのNOIは5.564%で、悪くはないですが、立地・業態を考えると高い印象は受けないです。

 

ヘルスケアの業態リスク

ヘルスケアリートの一番のリスクは、「オペレータリスク」と言われています。

例えば、法律の変更による介護保険料の変更や、介護職員の人件費の高騰等の理由で、テナントとなっている老人ホーム運営会社の経営が上手く行かなくなった場合、「この老人ホームは経営が継続できないので閉めたい!」となったとします。その場合、別のテナントを探すにしても長期間を要しますし、信頼はなくし入居者は新規で集まらず、長期間に渡り期待された賃料が得られないことが予想されます。

テナントの入れ替えが難しいという意味で、業態リスクの高いリートと言えると思います。

 

イメージ付けに、ポートフォリオ内で敢えて一番取得価格が低い物件を見てみます。

取得金額3億7500万でNOIは5.8%です。

 

新横浜から徒歩6分ですので立地は素晴らしいので、入居者は容易に集まりそうですが、21室22人ですので、この位の規模ですと、トラブルがあったり、悪評が建つと直ぐ経営上手くいかないリスクもありそうです。

オペレータは「プラウドライフ株式会社」で辿っていくとソニー系の資本でした。

オペレータが、スポンサーと関係ないのはリスクですね。経営に問題があっても投資法人側は直接、間接的に影響を及ぼすことができないです。

 

ヘルスケア・リートの収益性の位置づけ

ヘルスケアリートは当初は期待されて高値を付けたものの、収益性が良くなく、人気もなく、成長もできず、リスクが高いリート扱いでした。

下記、2017年10月に書いた記事の抜粋です。「ヘルスケアリートは平均的に良くない」として投資対象からは見送っていました。

 

実際のこの内の1つ「ジャパン・シニアリビング投資法人」は、当時NAV0.7で利回り5.0%と酷いパフォーマンスでしたが、

この記事を書いた一ヵ月後にケネディクス・レジデンシャル投資法人と合併を発表しました。

印象が良くなく「ヘルスケア系リート」はチェック対象外でした。

 

シニアリビング&メディカル投資法人が指標上まともになっていた。

今回利回りが6%を超えていたので改めてチェックしました。

A格付け取得

2018年にJCR格付けを取得しAランクとなっていました。

推測もありますが、AA格付け銘柄であると、日銀も購入対象候補になりますし、アクティブ投信を運用している機関もあまり厳しい基準を設けず購入します。

一方A銘柄は特に上場後期間が短いものは放置されるケースもありますが、ファンドがガッツリ買ってくれるケースに遭遇することもあります。

僕は投資時期が日銀・投資信託の影響が大きい時にリートに参入したので、利回り・割安銘柄にも遭遇できるA銘柄嗜好です。

 

NAVの改善

NAVは0.98まで回復してます。

NAVが高いと割高なので買いづらい側面がありますが、NAVは低い状況で利回りが低いと、前述のシニア・リビング投資法人の様に、成長が止まります。

経営的に増資の選択肢が取れる程度のNAVが望ましいです。

もしかしたら経営陣が「シニアリビングの様にはならないぞ!」と奮起した結果ですかね??

下記、格付けAランクのバブルチャートです。NAVが0.98の利回りが6.11%です。

時価総額の増加

2019年1月に2回目のPOがあり、大規模な物件取得していました。

資産規模は648億ですのでA格付けの中でも高くないです。

NAVがこのレベルに安定し、高率での分配金が安定すれば、外部成長の期待できます。

結果、ポートフォリオが強化され一件辺りの物件リスクが、より下げられる期待が取れるのはありがたいことです。

 

二回目の増資で病院不動産を取得しています。129憶円でNOIが5.2%。取得全体の総額の約1/4と考えると大きいです。

病院不動産の取得はJリート初です。シップはスポンサー関連会社ですので、病院経営が上手くいく条件に収益性は安定しそうな期待があります。

 

利回りがあがった理由は?

指標から見ると、NOIが5.6%、昨年の決算が当期利益率42%、LTVが50%前後ですので、どれもソコソコですが秀逸するものはなかったです。

ざっと手元で計算すると利回りが4.7~4.8%位の実力のイメージです。不動産売却益もなく分配金とギャップを感じました。

下記IR資料ですが通常利益分配金以外の項目が計上され分配金を押し上げています。

 

利回りが上昇した1つの理由は「継続的な利益超過分の分配」の実施

2018年9月の株主総会で「継続的な利益超過分配の実施」を決定しています。

利益超過分配とは、この場合は資産の減価償却費用の20%を分配金に回すというものです。

ある意味タコ足の様にも思えますが、不動産の減価償却費を計上し資産額が目減りしていても、それを上回る不動産評価価格の上昇があり、また将来にわたる修繕費用予測が、減価償却費用を下回れば内部留保する必要がありません。

これを継続できる前提で分配金に回すというものです。投資家対策で投資口価格の低迷を避けたものですが、分配金方針にまで盛り込むのは、結構大胆だと思います。

2019年1月の決算では326円に相当する額が含まれていて、これが0.5-0.6%程利回りを押し上げています。

 

なんとなく打診買い。

業態リスクは依然高いと思います。

リート全体平均利回り4.1%を大きく超える利回りはリスクの裏返しでしかありません。

ですが、この1年で、成長戦略と分配金方針等ドラスティックにやっている印象を受けました。

もう少しチェックしたいですが、今の買値で6%は無理でも、5.5%程度の安定利回りが期待できるのであれば面白い銘柄であると思い打診買いしてみます。