BDCが高配当でハイリスクの理由の1つに「レバレッジを効かせている」のですが、もう少し掘り下げてみます
レバレッジ1.78のARCC
ARCCでは投資資金に対して、外部からの資産調達が0.78となっています。レバレッジは1.78倍になります。
下記が、ARCCのバランスシートです。右側がARCCから見た「債務」になり、左側が実際に貸し出している「資産」です。
ARCCは「債務:株式(投資資金)」の比率が0.78:1になり、レバレッジは1.78となっています。
ARCCのバランスシートの負債について
Equity
事業投資信託口として公募を募り投資家から集めたお金です。僕らが公開市場で取引して購入できるものです。
市場で取引するので実資産より、割高だったり、割安だったりします。
Unsecured Note
ARCCが発行する無担保の債券です。市場で買ってもらって資金を調達します。
日本のREITだと、実物件を担保に「投資法人債」として銀行や機関投資家に買ってもらうのと同じですが、個人投資家にも広く発行される様です。
下記は、ARCCが2019年6月5日に出た新規に発行された劣後債です。5年で利回り4.2%ですね。
利回り4.2%で借りて、より高金利で貸し出して収益を上げる訳です。貸出金利は10%~20%等当たり前の世界であり、
低金利生活に慣れていて、レバレッジ取引に成れていない日本人の僕には恐ろしいです。
Secured Revolving Credit faciity
銀行から一定期間、事業資金として約束を頂いているものです。ある日突然返せ!と言われない資金です。
弁済順位について
弁済順位は当然下記となります。
市場から買い付けて投資すれば、株主扱いですので、会社がデフォルトしまくって解散した場合、この債券よりも弁済順位は低くなります。
Secured Revolving Credit faciity > Unsecured Note > Equity
仮に資産が半分になった場合
リセッションが来て、信用収縮が発生し、投資先の資産が倒産や不渡りで借金が返せない等で、資産が半分になったとします。
左側のバランスシート部分が半分になります。
レバレッジが1.78あれば0.89分の資産となり、0.89-0.78=0.11
でEquityに相当する資産は約89%位毀損する計算です。
レバレッジが効いている分は値動き倍率位に考えて、投資資金を少な目に調整しておかないと痛い目を見るかもしれません。
ARCCのバランスシートの資産について
多様化しているがメインはクレジット
ARCCは事業規模が大きく、投資案件も多く投資形態も様々です。投資・融資先は350社に分散投資されています。
その分デフォルト発生時の全体への影響が小さくなります。
下記が、ARCCの「Investment Day」の資料から抜粋したアセットの要約です。
わかりづらいので、日本語にします。
それでも、わかりづらいですね。
クレジット・株式・不動産と若干節操がない気がします。
金額を見れば、全体の7割を占めるクレジットは、直接・間接的な貸出・債券になります。「ハイリスクな企業に高金利で貸し出しをして収益を上げる」のは変わらないです。
下記が貸出アセットのクラスです。下記比率ですね。(2019/6/30 決算)
- 優先弁済(シニアローン) 41%
- 劣後債 45%
- 株式 14%
こちらのアセットクラスのは、各アセットで弁済順位に従って金利が異なります。目安下記になります。
劣後債の比率が4割というのは若干高めな印象を受けます。
全体の平均がどうなのかな? と思ったらBDCのインデックスCliffWaterが出しているCWBDCとのインデックスでのアセットが下記です。
ARCCは平均的なBDCと比較してもリスク高めの資産と読み取れます。
ARCCは資産規模も大きく分散が進んでいますので、その分リスクが低いとも思えますが、アセットの質としては結構広くて、リスクも高いですね。
資産規模を追っているので、若干アセットの質がハイリスクになる傾向があります。
2020 1Qベース書いたARCCの決算の記事です。
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