ARCCの決算概要ぐらい読めた方がいいですよね。

ARCCを含むBDCはビジネスの実態が理解しづらいですよね。決算情報を見てもわかりづらいと感じるので、要約の理解ができる様に説明してみたいと思います。こちらのIRの2020年1Qのプレスリリース参照しています。

2020年Q1の決算ですが、CoreEPSは0.43$の予想に対して、0.41$で、分配金は0.40$/Shareでしたが、プレスリリースで発表された表を抜き出してみます。

その1.ハイライト

BDCでは通常の企業のと同じ様な「売上」「経常利益」の様な収支報告でないのでわかりづらいですよね。BDCは高利貸しですから、売上(Revenue)というものはなく、基本は「金利収入」と「資産価値による損益」になります。

BDCは高分配金を謡ってますから、投資家にとって必要な「いくら稼いで、いくら分配してくれるんだ!」というところを反映させた要約ですね。

Core EPS :1株当たりの稼ぎです分配金に近い数字です「Non-GAAP EPS」とも表現されます。BDCは利益の90%以上を投資家に配分することで税金が免除されますが、年間通しての話なので見込み等に合わせて調整されます。

GAAP net income per(loss) / Share : 1株当たりの利益です。GAAPは会計基準です。これは評価損益も反映させる必要があるので分配金と差がでます。この場合は(1.42) は、「評価損入れると1.42ドル/株。赤字です」となります

Net investment income : 投資利益です。クレジット等で得られた金利収入、インカムゲインですね。BDCの主な収益です。

Net realized gains : 所有している資産の売却等によって得られた損益です。例えば、未公開株を持ってIPOして売却したらプラスです。逆に貸出企業が倒産で貸し倒れになればマイナスになります。

Net unrealized gain: 所有している資産の評価損益です。まだ実際には損益には反映されていません。ですが前述のGAAP上の計算は損益に組み込まれてしまいます。また将来「Realized gain(loss)」で確定する可能性があります。

今回は、808milion$の赤字です。記載を見るとBDCの様な「ハイリスクな貸出に対して、市場はよりスプレッドを必要とした」や「一部貸出のCovid-19の影響を盛り込んだ」とあります。詳細はプレスリリースでなく、SECの10-Qファイルに記載があります。この数字がどれだけ「Realized loss(確定損益)になるのかは、今後の不安要素ですね。

Dividened : 1株当たりの分配金です。今回の場合、評価損が出ていますが、キャッシュフローとしては問題なく予定の0.40$が分配されました。

その2.資産状況

わかりづらいですが「貸借対照表の要約」がこれで表されています。資産・純資産・負債/純資産、が記載されています。

Portfolio Investment at fair value: 貸出、所有ワラント・未公開株式等の実価格です。BDCはアセットの質より「たくさん貸し出し、たくさん収益を得る」という立ち位置が多いので、前期と比較してい多い方が成長していると見られます。

Total assets: 上記以外の現金等を含む総資産です。

Stockholder’s equity: 純資産です。僕らが投資している株式による出資金がベースです。ここは含み損が換算されるため、今回大きく減らしています。

Net asset per share : 一株当たりの資産額です。今回17.32$から15.58$に減っています。僕らの投資している株式に含み損も入れた値で計算されます。今回含み損(Unrealized Loss)が出ていますので10%程減っています。

Debt/equity ratio : D/Eレシオです。負債と資本の割合でレバレッジを表現していて、1.26倍と記載があります。1.26:1 = 負債:資本 となりレバレッジは2.26倍。LTVは1.26/2.26=55.7%となります。この期間に債務(債券か銀行からの借金)が6971mil$ -> 8179mil$にと増やし、一方でEquity、この場合は純資産は、前述の通り減らしていますので、大幅に高い数字となりました。

その3.貸出状況

実際のBDCの貸出の状況を表します。

Gross Commitments: 新規で達成された貸出です。「(良質の)貸出先がちゃんとある」ということは重要な指標とされます。

Exit Commitments: 貸出を終えた部分になります。前期に比べて出入りが少ないですね。

Number of portfolio company investments: 貸出先の数です。355の会社に貸し出しているので分散が効いていると言うのはARCCの強みですね。

At amortized cost: 加重平均した金利です。通常Fair Valueと変わりませんが、市場の状況により、金利条件の変更等が発生した場合に減損処理された形になります。

At Fair value: 市場公正価格での金利です。

BDCは語彙自体わかりづらく、決算も読みにくかったので記事にしました。

今回の決算は分配金が維持されたことによって市場はポジティブに反応しましたが、今回の四半期だけで11か月分の分配金に相当する評価損を計上しています。またプレスリリースでは触れていませんが、10-Qレポートでは、市場金利の下落により、調達資金(固定)、と貸出金利(ほぼ変動)の差益が減ることによる収益減リスクについて触れています。今の経済状況では全く楽観視はできないですね。

ですが、実際は決算数字だけ見ても資産の質はわからないので、アクティブな投資信託みたいなモノで、お任せなんですけどね。

こちらで概要理解した上で、改めてこちらの2020年1Qのプレスリリース参照してみると、ちょっと読みやすくなるかもしれません。

下記、以前の決算時点になりますが、ARCCのバランスシートの記事です。

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