PFF(米国優先株式ETF)って? ハイリスク債券扱いでいいですよね?

今更PFF?突っ込まれそうな記事ですが、「高配当ETF」の1つとと言えば、iシェアーズ 米国優先株式 ETF ( Ticker PFF)が有名です。

僕も初めて米国市場で購入したのはPFFでした。購入してから「優先株」の意味や値動きを良くわからないまま来ていて、最近改めて理解したので記載しておきます。

 

iシェアーズ 米国優先株式 ETFとは

米国の優先株で組まれたETFです。SBI証券で購入できる米国ETF内で、「高配当ランキング」で調べたらREITや新興国債券等を入れてもベスト10入りしています。

Blacklockのページでは過去12か月利回りが6.74%と高い分配利回りを実現しています。実際の分配金としては額面5-6%が期待できます。

構成業種について

組み込み銘柄は下記です。構成業種を見ると、銀行・金融・保険・不動産が80%弱を占めています

いわゆる一般的に「自己資本比率が低い業種」で構成されています。お金を調達しないとやっていけない業種です。

PFF値動きについて

下記が2013年途中からの値動きですが概ね36ドル~40ドルで推移しており、値動きの幅が非常に少ないです。見ての通り株式の動きではないですし、金融が大きな割合を占めていきますが、トランプ相場で金融株が上昇してもまったりとした値動きです。

優先株とは?

優先株とは種類株式の一種で、普通株に比べて配当金を優先的に受ける、あるいは会社が解散したときに残った財産を優先的に受け取れる等、投資家にとって権利内容が優先的になっている株式のことをいいます。 ただしその代わり、会社の経営に参加する権利(議決権)については制限されるのが一般的です。

(日本証券業界のページから引用)

 

皆さんは、これだけ読んでわかりますか? 僕は良くわからなかったです。

先日、エイチ・エス証券で優先株の預託証券が販売されているのに気づいて、これを見て漸く理解できました。

「固定配当率」は発行額面に対する利金の利回りです。一方、「初回コール利回り」は実際に償還まで持ち続けることを前提にした場合の利回りです。この場合は、発行額面より高い値段で購入します。

これを見るとわかりますが、ETFを構成する優先株の実体は業績に関係なく「固定配当」の商品です。

 

企業が資金調達をする際、普通株だと値動きのリスクが高く資金が一定以上集まりにくいので、議決権をなくし、固定の利金を払うことにより、資金調達に幅を持たせる形を取った商品です。

特にリーマン・ショック以降に、銀行が一定以上の資本比率を維持することが求められたことを背景に「優先株」を発行し、資金調達を行ったということも関係しています。

 

債券と何が違うの?

債券は企業の借金ですから返済義務が発生しますが、株は株主による投資ですから倒産してしまっても返済されない可能性がより高くなります。

弁済順位は下記となります。

 

普通債 > 劣後債 > 優先株 > 普通株

 

また、株の特徴を持つので、会社の経営が危うくなれば発行側の意思で「無配当」となりえます。

債券ならば「デフォルト」で不渡りになり大変なことになります。

 

仮に経営が上手くいかず無配当になれば、流通している「優先株」大きく売られることになりPFFの価格も下落します。

また金利状況により繰り上げ償還条項もついているのが一般的であり、商品性としては債券に近いです。

 

この理屈ですと市場金利が上昇すればPFFの価格は下落します。

また金融不安や発行企業の業績懸念があれば、分配金減やその懸念から価格は大きく下落するリスクがあります。

 

下記が過去1年間のIEF( iシェアーズ バークレイズ7-10年米国債)とPFFの値動きになります。

比較時期にもよりますが、値動きのベクトルは一緒であり米国債と比較しベータ値は低く、配当は高い商品となります。

ポートフォリオの取り扱いについて

僕はポートフォリオの中でPFFを「株式」と扱っていましたが、PFFは一部では”ハイブリッド証券”とも呼ばれ、キャピタルがあまり期待できない一方で、デフォルトリスクも存在します。

取り扱いが難しいので僕はポートフォリオ内では「債券」として扱うことにしました。

 

少し脇道にそれますが、

  • JPモルガンの「優先株」
  • 「ソフトバンクのハイブリッド債券」
  • 「トヨタAA株」

の比較です。

債券・優先株は基本は資本への組み入れがされ、残存期間が少なくなると組み入れ率が少なくしなければいけないことも多く償還に繋がります。

PFFは証券化されてETFとして取引されていますので他債券ETF同様に償還を気にせず売買できるのが魅力だと思います。

 

まとめ

PFFは高い利率商品として魅力的だと思います。金利上昇を考えると値は下がる可能性は高く、何か金融不安があった際には値段は大きく下がるリスクがあります。投資のポートフォリオを考える際に、キャピタル・インカムのバランスを考える上で、PFFはハイリスク債券同様にインカムのみに割り切ってポートフォリオを組み金額決定をするべきかと思いました。