Chowder Rule ( チャウダー・ルール)・増配株投資の指標って知ってます?

増配株やDRIP投資(配当金再投資)の記事やデータを読んでいたら、「Chowder rule(チャウダー・ルール)」という指標を見ることがあります。

例)DRIPサイトのScreening Toolから

 

その内容が配当投資のサイトのSure Dividendに記載がありましたのでかみ砕いてみます。

チャウダールールとは?

配当率と増配率から、トータル・リターンが期待される銘柄を特定するためのルールです。銘柄の選定に役立つ指標として、DRIP投資家の間は言及されることがあります。

「チャウダー」はスープの名前とスペルは一緒です。Seeking Alphaという投資サイトの貢献者であるハンドルネーム「チャウダー」さんにより発案され人気を博しました。

チャウダー・ルールは2つの考えから出来ていて「トータル・リターン」「安全のマージン」になります。

 

「トータル・リターン」はその銘柄の成長率でEPS成長率や増配率を指標とします。

「安全のマージン」は、妥当な株価が100$と考えれば、33%のマージンを確保するとすれば67ドル以下でしか購入しない。というものです。

「安全のマージン」の確保はバフェットのメンターであった、ベンジャミン・グラハムによって人気を博した手法です。

チャウダールールは、異なる株に対して、異なるルールが適用され、下記3種類となっています。

非常にシンプルです。

 

ルール1:ストックの利回りが3%以上である、5年間平均増配率を足し合わせたものが12%を超得なければいけない。

年間8%の成長率の銘柄に投資して祈るだけ!というより、12%の年間成長率が予測される銘柄に50%の安全マージンを持って、投資するというものです。

 

ルール2:ストックの利回りが3%以下である、5年間平均増配率を足し合わせたものが15%を超えなければいけない。

これが87.5%以上の「安全のマージン」になります。成長株は成長が鈍化した際に株価が下落するため、より高い「安全のマージン」が必要との考えです。

 

ール3:もし、「公益事業株(Utility)」であある場合、5年間平均増配率は8%を超えなければいけない。

公益事業株は一般的には低成長で高配当の傾向で、その地域での法律や規則により高い参入障壁があるの一般的でチャウダールールでは「安全のマージン」を除いています。

 

ちょっと代表的な株についてみてみます。

 

AT&T(連続増配35年)

配当(6.65%)+ 過去5年増配率(2.1%)  = 8.75%

12%以下なのでNG

 

PhilipMoris(連続増配11年)

配当(5.02%)+過去5年間平均増配率(5.8%) = 10.82%

12 %以下なのでNG

 

JNJ(連続増配56年)

配当(2.61%) + 過去5年平均増配率(6.4%) = 9.04%

15%以下なのでNG

 

Microsoft (  連続増配16年)

配当(1.7%) + 過去5年平均増配率(13.9%)   = 15.2%

15%以上なのでOK

 

となります。

高配当派であれば、ルール1の配当3%以上で選びたいとことろですが、今の相場で50%マージン!は厳しいですね。

 

シンプルが故に疑問点も

チャウダー・ルールは、単純が故に実際に株式をBuy&Holdする場合には、考慮しておいた方が良い点があります。

 

増配率でなく、EPS成長率で見るのが妥当である

5年間の増配率を見るルールになっていますが、配当性向について考慮していないので、単純にEPS成長率を見るのが妥当です。

例えば、

・5年間でEPSは10$から5$に落ちた

・配当は1株辺り1$から3$に増えた。

この場合には、30%の成長率と呼ぶことはできず、配当性向は10%から60%に増えて増配余力が削られていることになります。

増配率だけでなく、連続増配方針のある株式銘柄のEPS成長率を見る方が良い指標と言えます。

 

先程の銘柄を増配率でなく、EPS成長率で見てみます。

AT&T(連続増配35年)

配当(6.65%)+ 過去5年間平均成長率(-4.30%) = 2.35%

12%以下なので大幅にNG

 

PhilipMoris(連続増配11年)

配当(5.02%)+過去5年間平均成長率(-0.6) = 4.62%

12 %以下なので大幅にNG

 

JNJ(連続増配56年)

配当(5.02%) + 過去5年平均成長率(3.1%) = 8.12%

15%以下なのでNG

 

Microsoft (  連続増配16年)

配当(1.7%) + 過去5年平均成長率(8.5%)   = 10.2%

15%以下なのでNG

 

全部NGになってしまいました。なかなか大型株には難しい指標ですね。

 

過去の実績で見るか、今後の予測成長率でみるか?

企業の成長が鈍化すること等の要素を考えれば、過去の実績でなく今後の予想成長率で見る方が妥当です。

企業やアナリストが今後5年の成長率予測は発表していますが、当然、未来の成長率は不確実です。

 

下記は今後の予想成長率に置き換えたものです(DataはFinBizから参考)

 

AT&T(連続増配35年)

配当(6.65%)+ 今後5年間の予想平均成長率(4.50%) = 11.12%

12%以下なのでギリNG

 

PhilipMoris(連続増配11年)

配当(5.02%)+今後5年間の予想平均成長率(6.66%) = 11.68%

12 %以下なのでギリNG

 

JNJ(連続増配56年)

配当(2.62%) + 今後5年間の予想平均成長率(6.93%)  = 9.53%

15%以下なのでNG

 

Microsoft (  連続増配16年)

配当(1.7%) + 今後5年間の予想平均成長率(14.3%)   = 15.7%

15%以上なのでOK

 

成長率はどれも過去の実績と比較し高く設定されており、バイアスがかかっている気がしますね。

これを信じて投資すると痛い目を見そうです。

 

感想

高配当投資家はどうしても配当に目が行き、企業の成長率には「いつか下落する様な、グロース株と比較して低いのが当たり前!」となり盲目になる傾向があるため、「成長率」と「配当」を両方見るルールは単純で良いと思います。

実際は「配当3%以上」で50%の「マージンの確保」は難しいと思いましたが、12%達成できなくても自分がBuy&Holdする銘柄はチェックいれたいですね。

僕が投資するのであれば、控えめに考えて下記ルールをボトムにしては、と思いました。

■配当は3%以上を確保している。

■予測成長率ベースでは、チャウダー・ルールを達成していること(50%のマージン)

■過去の増配率ベースでは、マージンは0でも良い(8%以上)

■過去のEPS成長率から考えて、マージンは0でも良い(8%以上)

 

しかし、文章を読んでいると「すごいな」と思えるのは、「市場成長率は8%が基準」なのです。

北米の投資家では当たり前なのでしょうか? すごいですね。

 

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他記事の紹介です。2年前にGoogleを買った時の記事ですが、無配当のGrowth株ではありますが、その時の考えに似ていると思いました。

Googleの成長率は約15%ですから「チャウダールール」に達することにもなります。

今のところ成長率通りに株価も上昇していますね。

PERが35のGoogle株買っちゃったので成長率の関係を考えてみる。

 

実際のチャウダー・ルールでスクリーンぐしてみた記事です。

ChowderRule銘柄(チャウダールール増配株)

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