米国BDC(Business Development Companies) 投資とは? 高配当な理由とリスク

BDCについて少し掘り下げ中です。

この記事は下記途中です。時間がある時に書き足して行きます。雑な記事ですいません。

 

BDCとは?

「BDC」とは、Business Development Companies(ビジネス ディベロップメント カンパニーズ)の略で、日本語では事業開発会社と訳されます。

新産業や有望な中堅企業等を資金を貸し出し、場合によっては経営面からもサポートする会社です。

 

1980年に投資会社の1つの形態として議会承認されていますが、長く広まることはありませんでした。Apollo Investment (Ticker: AINV ) が2004年に930Mil$の資産で、IPOしたのをきっかけに徐々に人気を有しています。

市場には44銘柄が上場して取引が可能で、日本の証券会社では、マネックスや楽天証券を通して米国市場で購入することができます。SBI証券では購入できません。

 

僕らもベンチャーに投資できるかも?

中小の企業への投資や、経営への参加もするとなると、「ベンチャー・キャピタル」と何が違うの?と思いますが、英語版のWikipediaに出てました。

 

Distinctiveness

BDCs are similar to venture capital (VC) or private equity (PE) funds since they provide investors with a way to invest in small companies and participate in the sale of those investments. However, VC and PE funds are often closed to all but wealthy investors. BDCs, on the other hand, allow anyone who purchases a share to participate in the open market. This feature often attracts money to newly public BDCs, thereby giving them a faster way to raise capital for investments than VC funds.

ざっくり訳)

BDCは投資家に小さな企業への投資や、投資資金調達への参加という点において、ベンチャー・キャピタルや、プライベート・エクイティ・ファンドと似ています。

しかし、ベンチャー・キャピタルや、プライベート・エクイティ・ファンドは、ほとんどのケースで富裕層の投資家向けです。

一方でBDCは、誰でも公開市場でその投資に参加し株式を購入することが許されています。この特徴から、BDCの新規公開時に個人投資家の資金を魅了し、ベンチャー・キャピタルより、迅速な手段で資金調達の提供しています。

 

これだけ読めば、日本から「ベンチャー・キャピタルに投資できる!」とも解釈できますね。

まぁ、でも実際には投資して資産減らしているBDC銘柄が多いので、そんなに甘くないと思った方が良いです。

 

BDCはスーパー高配当

配当利回りが10%前後の銘柄がゴロゴロしています。こちらは2019/7/21時点の配当利回りのTOP5です。

#1 PTMN Portman Ridge Finance Corp 16.67%
#2 ABDC Alcentra Capital Corp 15.87%
#3 CMFN CM Finance Inc 13.59%
#4 GARS Garrison Capital Inc 13.11%
#5 FSK FS KKR Capital Corp 12.73%

 

44銘柄存在しますが、銘柄の利回りは9%位です。ですが、

 

「高利回り=ハイリスク」

 

は世の常ですのが、こんなものを自由に取引できる米国はスゴイですね。

 

市場規模は大きくない

時価総額でのTOP5は下記になります。(2019/7/22)

1 ARCC Ares Capital Corporation 7.77B
2 FSK FS KKR Capital Corp 3.23B
3 PSEC Prospect Capital Corporation 2.46B
4 MAIN Main Street Capital Corporation 2.64B
5 AINV Apollo Investment Corp. 1.11B

 

ARCCはダントツに有名で、時価総額も7.77B$ですから、約8400億円程になります。

41銘柄合計の時価総額は約31Billion$で合計で3.4兆円程の時価総額です。

ARCCが時価総額ベースで約1/4を占めていることになります。

 

日本のJ-REITの総時価総額は14~15兆円の1/4

トップの日本ビルファンドが1兆円ぐらいで、ARCCよりも規模が大きいです。

米国のREITは時価総額を110~120兆円です。

 

日本よりも経済規模の大きい米国においてその規模ですから、若干マイナー感が漂います。

”米国においてもそんなに人気もないし、メジャーじゃない!”

に捉えて良いかと思います。

 

資産規模の推移

BDCは企業に貸し出したお金(クレジット)や未公開株等(エクイティ)が資産になります。

下記が米国のBDCのNAV(Net Asset Value=資産額)推移と、BDCのNAV資産を1とした場合のインデックス値の推移です。

 

金融緩和後のマネタリーベースの伸びにも負けそうな緩やかチャートですね。

資産規模(黒線)は滑らかに上昇しています。

インデックス値(青線)を見る限り、株価に連動して上限していますが、時価総額にほぼ比例して伸びています。

 

気になる2008年~2009年のリーマンショック時ですが、

インデックス(市場価格、月足)で1685->432と7割以上も下落しています。

一方で、NAVは1462->1246と約15%の下落になります。

現在とレバレッジ等のかけ方や、投資物件のリスクが違うのかもしれませんが、資産減以上に下落しています。

 

 

資産毀損リスク=利回り のBDC

上記で約15%の資産減でも、これが回収できていないお金で、レバレッジが2倍であれば、投資資金の30%が吹っ飛びます。

REITの場合は不動産価格が下落して評価額が減っても、メンテして維持していれば、いつか不動産価格が上昇して戻るかもしれませんが、

BDCでは、それは不渡りや破産等、投資先から永遠に帰ってこないお金になりえます。

 

リーディングカンパニーであった「Apollo investment」リーマンショック90%以上の下落となっています。

この時、NAV/Shareは55ドルから30ドルまで落ちています。リーマンショックで貸出実資産の4割減です。

その後もジリジリと資産を減らし、価格がリーマン前の数字に戻っていません。このレベルだと永遠に戻ることはないと思います。

 

 

BDCが高配当な理由

その1.格付けが低い・ない企業への融資

BDCは新産業や中小企業がメインで格付け等ない企業ばかりで、そもそも「いつ潰れてもおかしくない」ぐらいの企業への融資です。

BDCでは融資先は分散投資はされていますが、投資した分の何%かは毀損するのは当たり前の世界です。

市場で売買できるので、価格が上昇することはありますが、実際の資産(NAV)は徐々に減るのが常だと考える位が良いです。

 

ハイイールド債(ジャンク債)という言葉がありますが、格付けBBB以下の企業の債券です。

それより下になります。少なくとも債券を単独で発行する信用力がない企業への投資・融資です。

その2.BDCは事業投資法人である

REITの仕組みと同様に、その得られた収益については90%以上を投資家に分配されることで法人所得税を免除されます。内部留保が一定以上できません。

株式で言えば「配当性向は90%以上」になります。

その分収益は投資家に還元されますので高配当です。

デメリットとして、再投資資金が限定的ですので、資産価値上昇を伴う「キャピタルゲイン」を大きく期待することはできません。

 

その3.借金してレバレッジをかけている

投資家の投資資金とアセットを担保に有利子で資金を調達しそれを事業開発投資に充てます。

銘柄次第ですが2.5倍位のレバレッジで運用している銘柄もあります。当然、収益は2.5倍になりますが、資産が10%の毀損すれば、投資価格の25%分下落することになります。

現在のBDCのレバレッジリミットは3倍になります。

ちなみに、日本のREITはLTVが65%までなのでレバレッジは65/35+1=約2.86倍です。

実際は55%以上のLTVを掛けている銘柄は見たことありません。資産価値減が発生した際にレバレッジを下げるために売却リスクが加味されています。

 

その4.高金利貸出

無格付けへの融資なのですが、

米国にはいろんな事業、金融商品がありますが、どれも「ハイリスク・高金利な事業に融資をしている」ということには変わりません。

中小企業の事業資金として貸し付けたり、市場で流通しているハイリスクな金融商品を買い付けたりしています。

第二弁済で貸し出せば10%前後の金利で貸し出しますし、無担保融資(ワラント等)は利回り20%近くになることもある様です。

 

下記はCliffWaterが出しているBDCのインデックスにおける資産内訳です。

平均的に見て

シニアローン(第一弁済順位)・・62%

劣後ローン・・22.6%

未公開株式 ・・・ 10.7%

 

になります。当然、シニアローンより劣後債の方が貸出金利は高くなります。

この劣後ローンは実質「担保がなく貸出」をしている分です。

ベンチャー企業なんて赤字で資金が止まると死ぬ!みたいな会社も多くあります。信用不安が発生し、信用収縮が始まると、あっと言うまでに劣後ローンが吹っ飛ぶ可能性はあります。

 

 

BDC投資について

以上の様にどうみてもハイリスクで、かつ見えづらい投資商品ですね。

でも利回りの魔力で、「平均9%!」と聞くとクレジット投資好きの僕は惹かれてしまいます。

 

いくつかの銘柄を見た感想ですが、BDCは銘柄によって、レバレッジと、資産アセットの質が大きく異なります。

そのため、資産規模が大きければリスク分散が進み程利回りが低い、という傾向がREITと比較して薄いです。

 

レバレッジを効かせている訳ですから「投資したいな」と思っても、「投資したいと思った金額の」まずは半分程度から考えるのが良いと思います。

 

 

ARCCを例にレバレッジ投資、資産内容・リスクについてもう少し掘り下げた記事です。

ARCCのバランスシートについて

 

 

BDCの全銘柄をNAV/利回りで俯瞰した記事です。

米国BDCの全銘柄のバブルチャート(利回り・NAV倍率 )

 

 

4 Comments

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